2016年 2月 vol.21 Bakery Partner

1度でも立地に「迷い」を
感じたことがある方必見!

【保存版】物件選びノウハウ特集

 欲しい時に手元にないのが「情報」。今回の特集は新規開業・移転・2店舗目を検討されている方には、役立つ内容になっていると思います。開業前に注意すべきことやオープンするまでの流れはどういうスケジュールで何をする必要があるのか。パン屋さんを専門にプロデュースし、全国で多くの実績を上げている「株式会社ダイユー」取締役・星野理絵さんに話を聞いてきました。また、一生に数回しかないであろう物件選びで損しない為のアイテムを「株式会社グローアップ」専務取締役・北川裕人さんに紹介していただきました。

  • パン屋さんに向いているかは家賃と集客で判断する
  •  
    家賃が安い郊外であればどこでもパン屋さんに向いている訳ではありません。いかに集客ができるかが勝負です。逆も然りで、市街地は集客が見込めるから向いているとも一概に言えません。家賃と集客のバランスが大事です。また物件取得費が高いと開店資金を圧迫する為、 これも無視できない要素です。立地が良い場所で開業できれ売れるだけでなく、マイナス要素を打ち消すこともできますから、物件選びはとても重要だと考えます。今回の特集でお話する内容が少しでも皆さんの経営のお役に立てば幸いでございます。

    株式会社ダイユー 取締役 星野 理絵さん

〈立地の特徴を知る〉

  • 商店街

    商店街に活気があるのか(商店街の利用客数)、店頭に駐輪できる台数は何台か調べる必要がある。商店街のイベントチラシに掲載して宣伝広告費が軽減できる場合がある。車の利用客は見込めないが、魅力ある商店街だと売上は安定する。

  • 駅前

    利便性があるので人が多く、気軽に利用してもらえるが客単価は低い傾向にある。線路をまたいでの利用は考えにくく、反対口のお客様は計算に入れるべきではない。賃料が高く、近隣店舗が皆ライバルになるので独立開業にはあまり向いていない。

  • コンビニ跡地

    給排水・配線などの基本設備を活用できるので初期投資が抑えられる。目に留まりやすく集客しすい立地だが、家賃は高い。

  • 郊外

    賃料が市街地より安く、駐車場が用意しやすいので広い商圏で勝負が可能。しかし場所によっては人が呼べないので、足を運んでもらえる仕掛け作りが必要。

  • 商業施設(インストア)

    商業施設は販促費が共済で大々的に告知するので、イベントの集客力は大きいがデメリットも多い。契約期間が決められているので永住できない。売上に応じて支払う「売上歩合」がある。営業時間や定休日の決定権がない。ゴミ排出代金がかかる。指定のレジしか使用できない場合がある。足並みを揃える必要があるのでイベントに強制参加させられるケースが多く、長所が短所になる事がある。以上の事から独立開業には不向き。

開業前に陥りやすい
落とし穴!

初めて開業する方は、全てが初体験。その時に浮き足立つことが少なくなるように、お金がどう動くのか、業者さん選びはどうすればよいのか、店舗設計でありがちなことはなんなのかをご紹介します。

資金繰り

Q新規開業で一番最初にお金がかかるのは物件取得費用(家賃)ですが、30坪程度のテナントの場合、契約時に何ヶ月分の家賃を払うことが平均的でしょうか?

A6〜7ヶ月分しかもキャッシュ(現金)での支払いです!今まで独立の為に準備したお金の多くはここで使用することになります。※45坪相当のコンビニ跡地等の場合は8~10ヶ月が平均です。

【独立準備金】(自己資金)
【開店資金】

内外装や設備に使用できる予算

【物件取得費】

【内訳】敷金(1ヶ月)
礼金(1ヶ月)
仲介手数料(1ヶ月)
事前支払い金(3ヶ月)
※保証金を取られる場合も有

あなたの希望する店舗 (設備・内外装)と準備金のギャップはありませんか?足りない分は借り入れする事になります。自己資金でいくら用意するのか計画を立てましょう!

業者選び

 パン屋さんの店舗設計を手がける業者の経験値を見分ける方法

見積もり時期に「坪単価はいくらで開業できますか?」と質問してみてください。 この質問に対する業者の返答で経験値が分かります。

「○万円でやります」 と明言

 一見安心感がありそうですが、 これは大きな間違いです。 むしろ、パン業界の設計に関して経験が少ないと自ら認めているようなもので、トラブルになりやすいのでご注意ください。

「○万円くらいです」 と返答

パン屋さんの工事を手がけている経験が多いと高確立で言えそうです。

その理由は…

 以前営業していた店舗の図面が入手できれば、以前営業していた店舗の図面が入手できれば、回線の再利用が可能か判断できますが、パン屋さんの場合これがあっても配線の取り回しなどは工事が始まらないと正確に把握することができません。 これが坪単価を明言できない理由です。 また、設備費用が変動する工事の代表格は水周りで、トイレの有無、お客様用トイレの追加で大きく変わってきます。初期投資の分類になってしまうかもしれませんが、自動ドアやエアコンの有無も重要な要素です。

店舗設計

あれ!?営業空間って
こんなに狭かったっけ?

 導入する機械で必要な物と妥協できる物の線引きをしておかないと最終的にお客様が利用する販売スペースが狭くなってしまうので注意が必要です。また、スケルトンのテナントでは左記【図1】の天井裏配線と床下に配管を設置することになるので天井と床の両方から圧迫することになり、営業空間が狭くなります。

ケチって良いところと
ダメなところ

 売上が軌道に乗った時に設備の増設や入れ替えを想定されているなら、電気配線の容量を大きくしておくなど、基本設備は未来への投資と割り切って良いものを導入することをオススメします。ここをケチると、増設する為に電気配線を総取っ替えする工事が必要になったり、営業日を潰したりと、高くついてしまうことがあります。初期費用を抑えるのであれば壁紙や陳列台(家具)等の入れ替えが可能で、汚れる消耗品のようなアイテムを推奨します。最近では家具専門の量販店やインターネットで廉価でそこそこ格好のつくものもあります。